有名大学に合格するためには思考力に裏付けられた確かな英語力が必要です。しかし、現在の中学校の英語教育を考えると、大学合格を視野に入れる場合その方向性は乖離があり、高校に入学してからそのズレを軌道修正していくには相当な労力がかかります。ある意味ゼロからスタートする以上に、思考の癖を修正する分、時間がかかる場合もあります。なかなか自分一人でこの方向性のズレに気付くのは難しいと言えます。10年くらい前は英文法の基本は入っているけれど、英文解釈ができないという人が多かったのですが、近年は中学レベルの文法もままならない人が多く、感覚的にしか英文が読めない人が増えています。
東大のある教授によると、学問の基礎とはきちんと読めて考えられるということだそうです。品詞の役割が何なのかも分からずに英語で英語を学ぶことを目指すようなやり方はますます思考力や学力の基礎となる文法や読み書きの力が崩壊していくと警鐘を鳴らしています。また、元外交官の佐藤優氏は後天的に身に付いた言語力で、読む力を、聞く力・話す力・書く力が上回ることは、絶対にないと言っています。読む力が「天井」で、同じ文章をしゃべれるけれど読めないということは、ありえない。外交官の試験は明治時代から英文和訳と和文英訳。語学力に関してはそれで完璧に測ることができると断言されています。
中学時代は文法の基礎を入れながら、その後の英文解釈につながる基本姿勢を作っていく必要があります。中学から高校に上がっても体系的な積み上げが生きるようにしなければなりません。品詞の役割をベースに正しい予測と修正ができるように形状判断能力を養います。その力があってはじめて真の内容理解へと迫ることができると考えています。